成田発ニューヨーク行きの国際線のジャンボジェット機の中。
ファーストクラスに座った初老の男性に客室乗務員の女性が話し掛けた。
「お客様。お食事のほうはどう致しましょう?」
「食事?」
そういえば、日本時間ではもう夜の七時になる。丁度夕食時だ。
しかし、この男性は飛行機に乗るのが初めてで、選べる事なんて知らなかった。
男性は、乗務員に問うた。
「食事は、選べるのかい?」
「えぇ、選べますよ」
乗務員はニッコリと営業スマイルを輝かせた。
それを聞くと、男性は少しワクワクしながら聞いてみる。
「それで、何が選べるんだい?」
「"食べる"か"食べない"かで御座います」