とある日本のどこにでもいるような普遍的な家族がいた。
絵に描いたような4人家族と思ってもらったらいい。
ある日、その家族の二人の子供が部屋でけんかをしているようだった。
どったんばったん、地団太でも踏んでいるのか物音が絶えず
少しヒートアップしすぎな声が家中に響き渡っている。
あまりにもうるさいので父親は、子供を注意しに部屋へ向かう。
「コラコラ、うるさいぞ? ご近所に迷惑だろう。どうしたんだ?」
子供たちは一旦言い合いを止めて、父親のほうを見る。
兄はへの字に口を曲げて、事情を説明した。
「どっちがお父さんを愛してるかって、もめてたんだ」
「おまえたち……」
思わず、目頭が熱くなる父。いいだろう、このまま言い合わせておこう。
何かに期待したのか、父親は適当な返事だけすませて部屋を後にする。
部屋を後にした直後、部屋がまたにぎやかになった。
今度はよりいっそう、大きな声で叫びあっている。
ふと、父親はその叫び声に耳をすました。
「お前のほうだよ!」
「お兄ちゃんのほうだよ!」